前回に引き続き熱応力解析のお話です。
鋳造における熱応力と言うと、多くの場合で製品の変形による最終寸法精度を対象とするケースが多いのではないでしょうか。
しかし、応力解析の結果から得られる情報はほかにもあります。その中でも今回は熱間亀裂についてお話致します。
多くの場合、亀裂は応力集中する箇所で発生します。
しかし最終的な応力状態だけで亀裂の危険性を全て予測することはできません。
温度状態によって製品の硬さは大きく変化するため、その応力がどの温度=どの硬さで発生しているものなのかを考える必要があります。
高い応力が発生していても、常温に近ければ亀裂発生までは至らず、逆に高温の状態であれば、低い応力であっても、材料の強度が低く容易に亀裂が発生する可能性があります。
ProCASTでは温度依存の材料物性データを参照し、発生している応力と、その時の温度状態をもとにして、熱間亀裂の発生危険度を予測します。
これにより、正確な熱間亀裂の発生部位を解析で求めることができます。
鉄鋼材料メーカーの製鋼鋳造プロセス研究技術者を経て2000年日本イーエスアイ株式会社入社.鋳造,溶接といった熱加工プロセス,材料技術に従事.