こちらやこちらの続編として、MBS(Multi Body System)ライブラリのエレメントを使用したモデル化の事例を紹介します。
今回、題材としたのはヘキサポッド(スチュワートプラットフォーム)という、6つのアクチュエータで天板の位置や角度を任意に制御する機構です。わかりやすいイメージとしては、自動車や航空機などのシミュレータで傾きや重力などを再現するための台座に設置されている部分です。
(フライトシミュレータイメージ)
球体内部に設置された実機の操作により生じうる重力変化を天板の水平移動や傾斜により操縦者はあたかも実際に操作している感覚を味わうことが可能な機構です。
さて、下に示したモデルの伸縮部は機械,空圧,油圧系等の機構が考えられますが、このモデルでは各シリンダーに相当する部分は伸縮させるために力そのものを入力としています。(右半分にある上下を向いた白抜き矢印のエレメント、左半分は天板重心を設定座標に動かすためのPID制御モデル)
実際にはこの機構は油圧シリンダー、もしかしたら電動モーターからラック&ピニオンを介して動作する場合などが考えられるかもしれません。そこで、この矢印エレメントを下のようなイメージで動力モデルを変えることで油圧や電動により動作させるモデルに変更することが可能です。
また、天板の位置制御としてControlsエレメントを追加してあげれば6自由度で任意の座標に動かすテストがリアルタイムで可能になります。
最終的には入力信号に対して実物で体感できる重力変化同等の動きを天板部分が再現出来るような動力モデルの持つ特性を検討してあげれば良いということになります。
この様に、動作の基本的な仕組みが変わらなければ同じモデルを流用して変更や拡張が簡単に行えるのが1Dシミュレーションの強みです。
特にSimulationXには様々なエレメントはもちろん、柔軟な検討を可能にする様々な機能がありますので容易にMBDを行うことが可能です。
2004年、日本イーエスアイ(株)入社。自動車をはじめ各種産業分野のCAE受託解析業務及びVPSの技術サポートに従事。2016年からSimulationX及びVPSとの連成解析関連の受託解析業務、サポート、プリセールスエンジニアとして従事。