再び、MBS(Multi Body System)ライブラリのエレメントを使用したモデル化の事例を紹介します。
今回、題材としたのはエレベータです。ある階から呼び出され、人を乗せた後に指定された階へと移動する動き一連を再現しています。(画像はエレベータを最下層から見上げた動画になっています)
さて、下に示したダイアログビューでは見やすくエレメントがコンパウンド(複数のエレメントを一つにまとめる)されていますが、各種コントローラ, かご, 釣合おもり, 再上下端支持部(滑車), 駆動モーター及び機械式ブレーキ等で構成されています。
下の図のように、かごや釣合おもり及び滑車取付部は部位ごとにエレメントが分割され、(見えてはいませんが)支持部の剛性やかごが振れないようにガイドレール相当の考慮もされています。
このモデルを計算すると下のような各種結果が得られます。
(上段):コントローラからの('何階に行く'という)制御信号とかごの位置
(中段):かごの移動速度
(下段):かごの加速度(赤:前後方向, 緑:上下方向, 青:左右方向)
例えば、モーター出力やブレーキの効き具合を変えれば移動特性が、ガイドレールや支持部の剛性やクリアランスを変えれば振動特性が変わります。また、モーターは動力としてだけではなく、電力の回生も考慮可能ですのでトータルのエネルギー消費量を検討することも可能です。(モーターエレメントの'M':モーター動作, 'G':ジェネレータ動作状態)
この様に実機に依る検証が大変な場合や、複数の性能割付が組み合わされる場合などには1DシミュレーションによるMBDが非常に有効になります。
SimulationXには性能割付する際に便利なVariants Wizardが標準機能としてありますので、退社前に計算実行しておけば、翌日は感度解析や結果分析から行えます。
そのままドキュメント化して仕様書の作成を行うことや、ユーザーオリジナルのエレメント作成や複数のエレメントを纏める事、Microsoft Officeとの連携も標準機能ですので、洗練されたグラフィカルユーザーインターフェースと共に是非とも活用ください。
2004年、日本イーエスアイ(株)入社。自動車をはじめ各種産業分野のCAE受託解析業務及びVPSの技術サポートに従事。2016年からSimulationX及びVPSとの連成解析関連の受託解析業務、サポート、プリセールスエンジニアとして従事。