複合材料は、UDや織物を用いた連続繊維強化基材と母材である樹脂で構成されます。
成形方法の一つであるRTM成形のプリフォーミング工程では、樹脂含浸前のドライ基材をマッチドダイプレスにより3次元形状に賦形します。
また、加熱溶融状態のオルガノシートやプリプレグを熱プレスにより賦形する成形方法があります。
いずれの成形方法ともに基材は大変形し、繊維配向角が初期状態より大きく変化します。
この繊維配向変化が製品の強度・剛性に影響を与えます。
連続繊維は、繊維0/90°方向は剛性が高いのに対し、繊維45°方向は極端に剛性が低くなります。
また、面内方向の変形(引張)に対し、面外方向の変形(曲げ)は極端に剛性が低くなることも知られております。
代表的な変形モードのイメージは下記のとおりです。
PAM-FORMでは、このような連続繊維基材の大変形挙動を正確に計算するため、以下の材料物性値の入力により、各変形モードの剛性を表現可能な材料物性モデルを備えております。
面内引張、面外曲げ、面内せん断は方向別に独立して計算されます。つまり、お互いが干渉しません。
E1/E2/Gは温度とひずみ速度依存性カーブ、B1/B2は温度依存性カーブで入力することが可能です。
以上、PAM-FORMによる連続繊維賦形解析に適した材料モデルの説明となります。
2008年 日本イーエスアイ株式会社 入社。薄板金属成形解析業務を担当したのち、現在は樹脂複合材成形解析を兼務。製造業各社に向けた技術サポート、コンサルティング業務に従事。