今回はVisual-Assembly(以下Assemblyと記述)の入熱に対する考えかたを紹介していきます。
簡単な説明は過去に下記の記事で解説しました。今回はより具体的にご紹介します。
過去記事(溶接解析ソフト Visual-Assemblyについて)
まず、収縮過程(冷却)しか計算しないため他の溶接解析と比べ計算時間が非常に高速です。
アーク・スポット溶接に対応しています。
また、電流・電圧の入力が不要で収縮領域を指定するだけで溶接変形を模擬できます。
必要な物性値はヤング率、線膨張係数、融点などです。
収縮だけを解くとはどういうことか、イメージしやすいよう下記の例題を用意しました。
電車のレールが冬場は縮み、夏場は伸びるので隙間を開けましょうという材料力学でよくある問題です。
上記のような1mの炭素鋼を80℃から20℃(室温)まで冷却した際の挙動を考えます。
伸び量をλとすると、下記の公式から伸び量を計算できます。
λ = α × ( T2 - T1 ) × L
α:線膨張係数 T1:上昇前温度 T2:上昇後温度
α = 1.380×10^-05とした時、理論解はλ= -0.828 [mm]となります。
それではAssemblyでの解析結果と比べてみましょう。
下図は左端を完全拘束し80℃から20℃(室温)まで冷却した計算結果、Y方向変形量[mm]の様子です。(重力考慮無し)
結果は...
理論解:-0.828 [mm]
解析解:-0.831 [mm]
本計算では解析でも非常に理論解に近い結果となりました。
下図は右端の様子です。(変形倍率 x10, 赤線は変形前形状)
このようにシンプルな計算で確かめると理解しやすいですね。
以上、第5回目はVisual-AssemblyのShrinkage法についての紹介でした。
エンジニアリングサービス会社で構造・溶接CAEに従事。2018年日本イーエスアイ(株)入社。SYSWELD・Visual-Assemblyといった溶接・組み立てソフトを担当。