ここまでいろいろな機能の紹介をさせていただいてきましたが、そもそも私たちがご提案させていただく溶接組み立てシミュレーションとはいったいどういうものか、改めて概要をご紹介させていただきます。
製品製造プロセスでは複数の部品が溶接や接合技術によって結合されていきますが、実際の現場ではいろいろな問題が発生してトライアンドエラーを繰り返しながら組み立てて最終製品として世の中に送り出しています。
しかしこのトライアンドエラーは実部品を使って行われますので、その試作部品や治具の製造コスト、修正・変更の工数やそもそも変更可否などの制約があり、どうしても限定された範囲での検討となったり、前工程からの見直しなど納期やコストに大きな負荷を与えることになります。
この実物を使ったPhysical Prototype(フィジカルプロトタイプ)に対して私たちはこの試作工程をデジタルデータにより再現し、実際の試作部品や治具の製造を行わず、事前に様々な検討を行うことでコストやリードタイムの削減、さらには試作フリーの製造技術検討を行うVirtual Prototype(バーチャルプロトタイプ)をご提案しており、そのためこれまでご紹介しているような機能を開発、駆使してその実現に取り組んでいます。
特に現実に組み立てる部品が設計図面通りできていないため部品間のギャップや接触が発生し、これらをクランプやスポット溶接で無理やり押さえつけて組み立てていくために変形が発生することが挙げられます。
このプロセスを下図のように位置合わせからクランプ拘束、溶接という工程をすべてシミュレーションによって再現することがバーチャルプロトタイプの基本的なコンセプトであり、このコンセプトを実現するためのソフトウェアがVisual Assemblyというソリューションになります。
これを再現するためには設計図面通りのCADデータではなく、許容範囲内ではあるものの多少の誤差を含む実製品形状により部品間ギャップを取り込んで組み立てる必要があります。
このため以前ご紹介しました3Dスキャンデータ形状を反映した解析用メッシュを作成するモーフィング技術を開発、ご提案しております。ご紹介内容につきましては「実際の形状を再現するモーフィング機能」をご参照ください。
これによって実際の形状をデジタル化してコンピューター上のバーチャル空間にて実際の部品形状を考慮した組み付け時のシミュレーションを行うことができ、実部品を使用しなくても様々な検討を行うことができるバーチャルプロトタイプが可能となります。
そして下図のようにフィジカルの試作をバーチャル試作に置き換えることで期間やコストの低減に加えて、フィジカルでは実現困難な検討を実施する、というのが私たちESIからのご提案です。
エンジニアリングサービス会社で構造・溶接CAEに従事。2018年日本イーエスアイ(株)入社。SYSWELD・Visual-Assemblyといった溶接・組み立てソフトを担当。