本日は、SimulationXモデルによる計算結果の処理に関して、ESI Group が展開する数値計算ソフトウェア Scilab の活用例をご紹介したいと思います。
SimulationX では、パラメータスタディが容易に行えることは当ブログでもご紹介しましたが、その結果を最大限に活用する為には、データ処理が必要です。
例を挙げながら説明したいと思います。例えば、以下の様なモデルを考えます。
今、ここで、30Hzの振動入力(source1)により springDamper2 で発生する振動を、mass1 と mass2 の質量によって低減することを考えます。
mass1 と mass2 のパラメータを 0.05~0.4kg の範囲で変更して計算すると下図の様になりますが、この結果から mass1 と mass2 の質量の最適値は一目では分かりません。
また、mass1 + mass2 < ●kg 等 の制約条件がある場合は尚更です。
この様なケースに対して、Scilab が非常に有効になります。
Scilab を簡単にご説明しますと、オープンソース且つフリーの数値解析ソフトウェアで、行列計算やグラフによるデータの可視化等が行えます。
実際に、以下のフローで先ほどの計算結果をScilabで処理した結果が下図になります。
青→赤 に行くにつれ、springDamper2の振動の振幅が 小→大 を示しており、mass1 と mass2 の質量の組み合わせによる springDamper2 の振動分布が把握出来ます。
また、破線は mass1 と mass2 の質量の総和が一定であるラインを表しています。
質量の総和が一定であるという制約の下では、☆のベース仕様に対して、mass1の質量を小さくし、mass2の質量を大きくした方が質量の総和が不変のまま、振動を低減出来ることが分かります(赤の☆が最適値)。
以上の様に、複数の計算結果を分析する際、Scilabは非常に便利なソフトウェアです。
計算結果の処理方法で悩まれている方は、是非一度試してみてはいかがでしょうか。
完成車メーカにて主に駆動系のNV解析(1DCAE)に従事。2018年、日本イーエスアイ(株)に入社。SimulationXのCAE受託解析業務、サポートを担当。