以前、当ブログにて1Dシミュレーションの考え方についてご紹介しましたが、今回はモデルの簡略化についてご紹介したいと思います。
自動車の振動解析モデルを例に挙げて説明します。
今、AさんとBさんがある自動車の振動解析モデルを構築しようと考えています。
Aさんが構築した自動車の振動解析モデルは下図になります。
エンジントルクの伝達経路上にあるシャフトは、その寄与の有無やねじり剛性の大小に関わらず
全てねじり剛性としてモデル化しています。
Aさんのモデルで100Hzまでの周波数応答解析を実施した結果が下図になります。
上図の周波数応答には2つの共振ピークがあり、それぞれの共振ピークにおける振動形状をSimulationXで計算すると、下図となります。
1次モード(6.5Hz)
2次モード(25.5Hz)
上図2つの振動形状を見ると、最初のばねと最後のばね以外は変形していないことが分かります。
次にBさんがモデルを構築します。BさんはAさんの結果を受け下図のモデルを構築しました。
このモデルにて周波数応答解析を実施し、Aさんの結果と比較した結果が下図になります。
この結果から、0~40Hzまでは、青線(詳細モデル)と赤線(簡略化モデル)がほぼ一致していることが分かります。つまり、評価点が40HzくらいまでであればBさんの構築した簡略化モデルで十分であると言えます。
勿論、100Hz位が評価点であれば、その差については十分に検討した上で、どちらのモデルを使用するか決める必要があります。
一般的には、評価点の値に悪影響を及ぼすような簡略化はNGかと思いますが、モデルの簡略化は結果の分析がし易くなる且つ計算時間が短くなる等(実際に本例でも計算時間は短くなります)の多数のメリットがございます。
モデルを構築する際は、目的に応じた無駄のないシンプルなモデル化を意識してみてください。
完成車メーカにて主に駆動系のNV解析(1DCAE)に従事。2018年、日本イーエスアイ(株)に入社。SimulationXのCAE受託解析業務、サポートを担当。