IC.IDO導入事例 Mitsubishi Hitachi Power Systems Europe
「IC.IDOの3Dモックアップによる検証により、致命的欠陥を設計初期段階で発見することが出来るようになりました。これにより、時間浪費を低減するだけでなく、未然に検証・改善することで損害賠償のリスクも避けることができました。IC. IDOの費用対効果は計算出 来ないほど高いと言えます。」
Christoph Kastl氏 Mitsubishi Hitachi Power Systems Europe, IT部門長
設計プロセス・品質の改善
背景
Mitsubishi Hitachi Power Systems Europe (以下、MHPSE)では、自社製品・サービスの入札において、落札後の仕様相違・欠陥等によるリスクを削減するため、入札前に製品仕様を検証できるツールを必要としていました。
導入による効果
大規模建造物設計において、異なる部門・担当者同士が仕様・動作確認を3次元モックアップでリアルタイムに確認できることで、部門間の相互理解が向上され、開発時間が大幅に短縮されました。
また、建設プロセスに入る前に欠陥を発見・改善することにより、プロジェクト遅延・品質による損害賠償のリスクを削減することができました。
世界のエネルギー業界は今日、前例のない厳しい状況に直面しています。この状況下において電力プラントの設計・建設・運営等関連企業は、「より革新的に」、「柔軟性をもたせ」、「より低価格で」、等日々多くの課題があがり、また開発途上国においての競争も激化しています。このような背景から、MHPSEは2006年、顧客と関係会社間の設計プロセスにおける情報共有を強化する新しいツールの検討をしました。MHPSEのような大手企業が、全世界に存在する支社・関連会社の品質およびプロジェクト管理をするのは非常に困難であり、また限られた納期の中で、下請け企業に設計・開発プロジェクトを委ねてしまうことは、遅延や欠陥により多額の損害賠償につながってしまいます。
「損害賠償額は100万ユーロに至る場合もあります。これが顧客と関連会社間のコミュニケーションを強化するべき重要な課題で、IC.IDOは最適のソリ ューションでした。」とMHPSEのIT部門長Christoph Kastl氏は語っています。
3Dモックアップの中を体感する、没入型VR:
MHPSEでは、異なる部門・技術担当者同士がソリッドモデルをベースにE-mailやスクリーンショットで相互デ ータを共有し、静止データによるコミ ュニケーションには限界がありました。
IC.IDOでは、自分自身の身体を視界に入れながら、仮想試作品を体感することができます。また、リアルタイムに実物大の3Dモックアップを確認し、部品を動かしたりすることで、直感的に試作品の欠陥を予測することが可能です。
IC.IDOにより、異なる技術領域、世代、言語や文化にあったギャップをなくし、リアルタイムに情報共有をしながら設計が行えるようになりました。
VRによりMHPSEの既存設計プロセスを統合
MHPSEは大型3Dスクリーンを設置し、VRルームの拡張を決断しました。その効果は即時に現れ、顧客や関係会社とのコミュニケーションが改善されました。
体感した全員が、リアルタイムに実物大でレビューが可能なこと、またそのデータの準備時間が短いことに感銘を受けました。
ユーザーインターフェースの操作性についても高い評価がなされました。干渉チェック、スナップショット、マーカー、モデルの半透明化、レビュー中に音声メモやノートを残し、それを自動でPDFにできるなど、IC.IDOは確実に設計者に必要なツールを備えていました。
Christoph Kastl氏は、このプロセスを経てVRに対する認識を深め、データ準備やアップロードの過程を自動化するなど、VRをより活用していくことを決めました。
導入当初はレビューの8時間前までにはエンジニアがIT部門に3Dデータを送信しておかなければなりませんでしたが、自動化の結果、現在では発電所全体のデータを準備するのに1時間もかからなくなりました。エンジニアからのデータ要請後、すぐにセットアップが完了します。
「関連会社と発電所間での技術レビューの際、3Dデータの一部をアップロードするだけで済みます。発電所全体のデータ化にはより長い時間がかかりますが、最大1時間程度です。レビ ューにおいて問題を発見した場合、マ ーカーやスナップショットを作っておけば後から具体的に検証できます」とChristoph Kastl氏は語っています。
VRの導入により、異なる部門・分野の違うそれぞれの担当者同士の状況を可視化し、設計プロセスが改善されました。
「MHPSEでは、長い時間をかけてIC.IDOを私達の業務に実装し、プロセスを革新的で効率的なものとする当初の目的を達成しました。これからも、エネルギー産業においてVRを活用する可能性は無限にあり、MHPSEの強い武器だと言えます」とChristoph Kastl氏は語っています。
IC.IDO導入以来、意思決定プロセスは大幅に簡素化され、その効果は目に見えて表れています。