今回は機構応力解析MEDYSA(3D)と1DシミュレーションツールSimulationXのコラボレーション企画第二弾として、1Dシミュレーション連成解析事例(CVTの上流/下流を考慮した連成解析)をご紹介致します。
これまでMEDYSA(3D)を使用したCVT解析では入力軸から出力軸までをほぼフル弾性体でモデル化し、伝達効率、プーリ/エレメント各部に発生する力や応力または弦振動の発生メカニズム解明などあらゆる問題に対して広くご使用頂いておりました。しかしながら従来の解析モデルでは回転数やトルクなどは入力条件として予め与えなければならず、CVTの上流および下流側を考慮することが容易ではありませんでした。今回ご紹介する解析では1DシミュレーションツールSimulationXと従来モデルを連成させることにより、より実機に則した解析モデルの構築が可能となりました。
下図はSimulationXにて作成した1Dモデルになります。連成解析においては下図赤枠の部分(エンジン側/車体側)については1Dにてモデル化し、青枠の部分(CVT部)については3D(有限要素)にてモデル化します。
1Dでモデル化されたロックアップダンパー等を経由したエンジントルクを3Dモデルが受け取り、CVT入力軸が回転します。同様に1Dでモデル化された車体側から計算された負荷も3Dモデルに反映出来ます。このようなモデル化により、従来と比較してより詳細な、より現実的な解析モデルとなっています。
下記が解析結果アニメーションとグラフになります。入力/出力軸のトルク、回転数だけではなく、CVTの上流/下流側の各種物理量も確認可能になります。本モデルでは計算時間短縮のためエレメントは剛体としてモデル化しております。
本モデルではエンジンを動力としたモデルになっておりますが、SimulationXでは各種モーターのライブラリも豊富に取り揃えておりますので,動力源の変更も容易に行えます。また、本フレームワークを使用することで入力トルク変動の再現やタイヤから衝撃が入力された際のスリップ防止油圧の検討または油圧の低減検討など様々な問題に応用出来る可能性がございます。
今後も1D/3D連成解析事例をご紹介させて頂く予定です。
2005年に日本イーエスアイ(株)に入社。VPS(MEDYSA)エンジニアとして,主に自動車メーカー向けトランスミッションの強度・構造・機構等のCAE受託解析業務を担当。2012年からはセクションマネージャーとしてチームマネージメントにも従事。