今回はRULA(Rapid Upper Limb Assessment) Scoreについて紹介します。
RULA Scoreとは、人体の関節曲げ角度によって算出される評価値となります。
RULA Scoreの優れているポイントとしては、関節の曲げ角度のみを用いることで作業姿勢を評価できることです。算出が簡単なため、国内外で広く採用されているそうです。
IC.IDOは、人体モデルRAMSISを用いたErgonomicsに関する検証が可能なだけではなく、VR検証者の全身動作をRAMSISに反映させるBody Tracking機能もあるため、既存機能にRULA Scoreが追加されたことで作業姿勢を数値化することが可能となります。
そのため、治具や設備を手配する前段階でのVR環境で、作業者の姿勢評価値から作業妥当性を考慮できるだけではなく、治具・装置の操作性や作業性の予測精度向上も期待できます。
また、算出したRULA Scoreは記録しておくことでPDFとcsv形式で出力することが可能ですので、異なる部署との情報共有も可能です。
これらによって、フロントローディングをさらに加速させられるのではないかとも期待してます。
こちらの動画はRULA Scoreをリアルタイムに算出しているものとなります。
10年以上前までは、静止画や動画から、各関節の曲げ角度を算出し、RULA Score算出用のワークシートを埋めてRULA Scoreを算出していたようです。
IC.IDOのBody Trackingも用いることでRULA Scoreをリアルタイムに算出できるようになったため、関節曲げ角度の算出やワークシートを埋める手間もなくなり、算出するための工数削減も可能になっています。
今回参考にした文献はこちらの2つです。
人体リンクモデルを用いた組立作業姿勢計画手法(常定ら, 日本経営工学会論文誌, Vol. 57, No. 2, pp.132-143, 2006)
組立作業者における筋骨格系の訴えとRULA法を用いた評価(千葉ら, 産衛誌 44巻, 2002)
RULA Scoreの紹介は以上です。
次回は距離測定結果のリアルタイムアップデートについて紹介します。
2019年、日本イーエスアイ(株)入社。上級バーチャルリアリティ技術者(Senior Virtual Reality Specialist)資格取得。入社後はユーザーへのサポートやプリセールスエンジニアとしての活動に従事。