衛星利用は既存の学術・防衛・商業用途に加え自動運転やコネクテッドカー、IoTなどの広まりにより大きく増加してきています。衛星にはGPSや制御用、テレメトリー、データ通信用などさまざまな用途のアンテナが搭載されています。衛星アンテナでは地球上との通信を確保するため、送受信アンテナ間の相対位置変化や地球磁場の存在する電離層通過時に発生するファラデー回転の影響を軽減するために周波数や用途によって円偏波アンテナも多く使用されています。
衛星は宇宙空間を浮遊しているため衛星搭載アンテナの放射パターンは全周について確認する事が必要とされますが、このような測定を行える設備と大きさを持つサイト(電波暗室など)は多くはないためシミュレーションの活用が有効となります。
CEM Oneでは衛星の形状・時間経過により展開形態の変化やアンテナの近傍構造、使用する偏波などに影響される衛星搭載状態におけるアンテナ指向性評価が行えます。
本記事では、円偏波解析機能及びSWARM衛星解析事例をご紹介します。
位相差給電を行う事により円偏波を発生します。
放射電界ベクトル表示(右旋偏波)
放射パターン:右旋偏波利得(dBi)
水平方向XY面の軸比(Linear)
0°:X軸方向
RHCP:1≤AR<∞、LHCP:-1≥AR>-∞
TE1モード
TE2モード
放射電界ベクトル表示(右旋偏波)
放射パターン:右旋偏波利得(dBi)
ESA SWARM衛星のGPSアンテナ解析事例です。
デユアルバンドGPS:1.6、1.2GHz
衛星筐体とGPSアンテナ搭載位置
表面電流分布解析結果
衛星搭載GPSアンテナ指向性解析結果
関連論文:「Antenna for precise orbit determination」 Johan Wettergren, Magnus Bonnedal, Per Ingvarson, Bo Wästberg
電気機器メーカーにて電磁接触器の設計に従事し、電磁界解析の経験を積む。1999年より現在まで日本イーエスアイ(株)にて電磁波解析を担当し、主に自動車関連メーカーの解析をサポート。