自動車のADAS(先進運転支援システム)やAD(自動運転)の機能であるBSM(ブラインド・スポット・モニタリング)やRCTA(リア・クロス・トラフィック・アラート)などで使用されるサブミリ波(24GHz)を使ったレーダー解析事例です。
本事例では、モーメント法とFDTD法を組み合わせて解析(カップリング)を実施しています。初めにモーメント法でアンテナ(レーダーデバイス)を詳細解析し、次にFDTD法で樹脂のバンパーカバーとその塗膜をモデル化して全体を解析しています。
※塗膜のモデル化については「樹脂塗膜のモデル化機能」記事で紹介しています。
本カップリング手法には下記のようなメリットがあります。
計算資源の削減
個々のメッシュ数が大きくならないため、計算時間・メモリ使用量が節約可能。
特定周波数のアンテナ単体解析など小規模モデルではモーメント法の計算が速い。
電気長の大きな構造物にFDTD法を使う事による、リーズナブルな計算時間、メモリ使用量。
(本事例:約30 min<4proc>、約3GB)
解析精度の向上
アンテナ解析にモーメント法を使う事による詳細形状を再現した解析
アンテナ傾斜取り付け時のFDTD階段近似による精度劣化回避
配置検討の容易さ
アンテナの配置、角度など変更の場合も、FDTD計算のみで対応可(アンテナ解析は必要なし)
カップリング手法ならではの機能として、アンテナからの放射を一周期に限定する事が可能で、バンパーカバーなどからの反射も視覚的に確認する事が可能です。
電気機器メーカーにて電磁接触器の設計に従事し、電磁界解析の経験を積む。1999年より現在まで日本イーエスアイ(株)にて電磁波解析を担当し、主に自動車関連メーカーの解析をサポート。